フェイクニュースの背後:故意のデマが引き起こすエンゲージメントと広告収入の真実

近年の社会現象として無視できない「フェイクニュース」については、既に多々取り上げられています。しかし、そこに至る背景、つまり「何故フェイクニュースは広まるのか?」という疑問には十分な答えが提供されていません。これが今回の記事のテーマです。私たちは、「フェイクニュースがなぜエンゲージメントを集め、広告収入を生むのか?」という焦点に迫ります。

本記事では、フェイクニュースの定義を明らかにした後、ニュースがどのようにしてエンゲージメントを生むのか、そしてそれがどのようにして広告収入に繋がるのかを詳細に解説します。さらに、最新のフェイクニュース対策を紹介し、読者の皆様が直面するフェイクニュースとどのように向き合うべきかについても触れます。

本記事を通じて、フェイクニュースの実態とその背後にあるメカニズムを理解し、日々の情報収集に生かしていただければと思います。具体的な事例を交えながら、誤解や混乱を招くフェイクニュースの問題を一緒に考えていきましょう。

フェイクニュースの定義

フェイクニュースについて話しをはじめる前に、まずその定義を明確にする必要があります。通常、フェイクニュースとは、故意に錯誤された情報や偽情報を広める行為を指します。その目的はさまざまで、一般的には政治的な影響力を獲得するため、あるいは単に広告収入を得るためとされています。

フェイクニュースは主に次の三つの種類に分けられます。

  • 完全な捏造:事実に基づかない情報が作り出され拡散される。最近では、生成AIの台頭により、総理の捏造動画などが問題になりました。
  • エンゲージメントを稼ぐクリックベイト:ユーザーがクリックすることを誘うエサ(ベイト)にするために事実を歪曲した表現が用いられる。
  • 誤報:誤った情報が事故や勘違いから広まったもの。

では、なぜフェイクニュースはこれほどまでに普及してしまうのでしょうか。誰しもが「事実」に興味を持ち、信じたいと思っています。「事実」は我々の日々の意思決定に影響を与えます。だからこそ、フェイクニュースによって提供される「(偽の)事実」は、真実であると信じたいという人間の心理にうまく引っかかるのです。

そして、情報源自身が自分の記事を可能な限り広く拡散させたいという欲求と、人々が「衝撃的な事実」に興味を持つ傾向が、フェイクニュースの普及を助けています。

フェイクニュースとエンゲージメント

一見意味不明なようでありながら、必ずしもランダムな現象ではない「フェイクニュースの生成と広がり」。これがなぜユーザーのエンゲージメントを喚起し、さらには雪だるま式に広がっていくのか、ここではその背後にあるメカニズムを詳しく解説します。

理不尽な情報に人間は反応する

フェイクニュースは強烈な「衝撃」「スキャンダル」を伴うことが多いです。その異常性やスケールの大きさ、巧妙さは、人々が一瞬で目を見張るものです。驚き、そして情報を修正したいという欲求から、これらのニュースは一気にシェアされます。

具体例:偽ニュースの爆発的広がり

アメリカの2016年の大統領選挙では、ポープ・フランシスがトランプ氏を支持しているとのフェイクニュースがFacebook上で大量に広がりました。また、政治的に操作された情報やプロパガンダが流れ、それを鵜呑みにした多くの人々が社会メディアで情報を拡散。これらは、負のエモーションを引き起こし、それがエンゲージメントとなって増幅され、一部は実際の投票行動に影響を与えました。

また、震災や台風時に、猛獣が動物園から逃げ出したというフェイクニュースが日本国内でも大きく拡散され、大きな問題となったこともあります。最近でも、能登半島地震では、生き埋めになっており救助を求めている趣旨のフェイクニュースや義援金名義で送金を求めるフェイクニュース(詐欺)が問題になりました。そうした、特に救助要請のフェイクニュースは真偽の見分けが難しく、助けを求めている人が助かって欲しいという人々の気持ちから大きく拡散されてしまいます。それらは、本当に助けを求めている人々による情報発信を埋もれさせてしまい、そうした人たちの命を危険に晒す結果となり、殺人行為と変わりません

人間の本質を突くフェイクニュース

以上の事例に見るように、フェイクニュースがエンゲージメントを獲得するメカニズムは「人間の感情」を逆手に取るものです。スキャンダルや驚きのニュースに対する人間の反応、情報の真偽を問わずシェアしたいという衝動、これら全てがフェイクニュースがエンゲージメントを得る原動力となっています。

フェイクニュースと広告収入

フェイクニュースがエンゲージメントを高めるための手段として話題に上がることは多々ありますが、もう一つ大きな要素として「広告収入」があります。はたして、フェイクニュースがどのようにして広告収入を生み出すのでしょうか。

インターネットの広告は「インプレッション」(広告が表示される回数)や「クリック」(広告がクリックされる回数)により、収益が発生します。このモデルは、実はフェイクニュースの拡散と大いに関係しています。フェイクニュースは、そのショッキングな内容や誇張されたタイトルにより、多くの人々の興味を引きつけ、クリックを増加させます。そして、それが広告の表示やクリックへとつながるのです。

広告収入とフェイクニュースの戦略

フェイクニュースのサイトは、ショッキングで興味を引くようなコンテンツを生み出すことで、大量のトラフィック(サイトへの訪問者数)を集めます。そして、その訪問者を広告主のサイトや商品に誘導し、広告主から収益を得るというモデルを採用しています。

このように、フェイクニュースはエンゲージメントを向上させ、それと同時に広告収入を増大させる仕組みを持っています。

フェイクニュースによる広告収入の実例

具体的な実例としては、2016年のアメリカ大統領選挙では、フェイクニュースサイトが多数存在し、それらのサイトが大きな影響を与えました。ある研究では、選挙期間中に最も多く共有されたニュース記事のトップ20のうち、偽の記事が真実の記事を上回っていたと報告されました。

これらのフェイクニュースサイトは、誤った情報や誇張した見出しによって大量のエンゲージメントを生み出し、それにより広告収入を得ることができました。一部のサイトは、短期間で何千ドルもの収入を上げることに成功し、その衝撃的な効果に多くの人々が驚きました。

このように、フェイクニュースは誤った情報を伝播するだけでなく、それをビジネスモデルとして利用する事例が存在するのです。

フェイクニュースをビジネスとして活用している人々がおり、さらには最近では生成AIを活用した高度なフェイクニュースが増えてきているため、情報を受け取るわたしたちは、どの情報が真実で、どの情報がフェイクであるかを見極める技術が一層求められる時代になっています。そのための知識やスキルを身につけることが、私たち自身がフェイクニュースに対抗するための一つの手段となるでしょう。

フェイクニュースへの対策

情報化社会が進む昨今、「フェイクニュース」の影響力は日増しに増しています。これに対して各国、企業はどのような対策を取り組んでいるのでしょうか?また、我々一人一人がフェイクニュースに対抗するためには何ができるのでしょうか?ここでは、これらについて深掘りしていきます。

各国や企業のフェイクニュース対策

ソーシャルメディア大手Facebookは、フェイクニュースの拡散防止のため、投稿内容の真偽を調査するファクトチェック機能を強化しています。その結果、フェイクニュースの削除や警告によりユーザーへの曝露を大幅に抑制しました。

X(旧、ツイッター)においても、ファクトチェックが強化されており、誤情報や真偽性が疑われる情報などに関しては、削除や補足が可能となっています。

また、日本国内では新型コロナウイルス関連のフェイクニュース対策として、情報通信総合研究所がウェブサイトを立ち上げ、透明性の高い情報の提供を行いました。

しかし、昨今のフェイクニュースの巧妙化により、各国や企業とフェイクニュースとの攻防はいたちごっこの状態が続いており、私たち個々人が高い情報倫理によりフェイクニュース対策を行う事が最も重要な状況です。

個々のフェイクニュース対策へのアクション

では、私たち一人一人がフェイクニュースへ対抗するためには何ができるでしょうか?以下に具体的なアクションを挙げます。

  1. 情報源を確認しましょう:ニュースの出所を明確にすることが重要です。公式な情報源か否かを見極めることが求められます。
  2. 確認無くシェアしない:確認せずに的確でない情報を広めることは避けましょう。
  3. 情報の比較:複数の情報源から情報を得て、比較、検証することも有用です。

このように、「フェイクニュース」に対抗するには、全体と個々のレベルでの対策が求められます。各国や企業だけでなく、「情報に接する全ての私たち」が主体的に行動することで、フェイクニュースの拡散を防ぐことが可能となります。

結論

この記事では、フェイクニュースの現状とそれが引き起こす問題、そしてその可能性について深く掘り下げてきました。現代社会におけるフェイクニュースの流布は、一見すると単なる情報の誤りかもしれませんが、恣意的な意図に基づく数々の事例を通じて、それがどれほど大きなエンゲージメントを生み出し、そして広告収入を引き寄せるのかについて紹介しました。

広告主はしばしば、ユーザーエンゲージメントを高く維持することに重心を置く傾向があります。しかし、私たちはしっかりと認識しなければならないことがあります。それは、「全てのエンゲージメントが必ずしも健全なものではない」という事実です。

今後の見通しと対策

今後もフェイクニュースは我々の生活、社会に影響を及ぼし続けるでしょう。その多くはデジタル媒体を介して広まり、一部は故意に広められ、感情を刺激し人々を分裂させることを狙ったものである可能性があります。そのため、個々人だけでなく社会全体でその対策を講じていくことが求められます。

具体的なアクションとしては、情報の真偽を確認するスキルを持つこと、信頼性のある情報源から情報を得ること、そしてフェイクニュースを無闇にシェアしないことが挙げられます。

私たち一人一人が共感や興呪をもてば、その総力でフェイクニュースの問題を克服できると信じています。個別の努力が集まり、その積み重ねが正確な情報の伝播を後押しすることで、真実の追求を目指す社会を実現できるはずです。

最後に、恒常的な学習と警戒心を持ち合わせ、フェイクニュースに立ち向かいましょう。

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